加賀料理とともに発展してきた大野醤油
大野醤油は、江戸時代(元和年間)から当地にて醸造が始められ、関東の濃口、関西の淡口の中間のいわば中口で、火入時に1割ほどの甘酒を加えたものを高級品として、また仕込時に米麹を加えて発酵・熟成させたものは最上品として扱われております。海山の幸に恵まれた当地では、加賀藩主の御膳料理を筆頭に、庶民に至るまで食文化の高さを誇り、現在「加賀料理」と呼ばれるようになりました。こうして昆布だしのうまみ成分が当地の食に浸透し、現在のアミノ酸液を使う「うまくち醤油」に至っております。
醤油の味の類型を4通りにした場合、芳醇辛口(関東型)端麗辛口(関西型)芳醇甘口(九州型)端麗甘口(北陸型)と地域特性が表れております。大野醤油は金沢の食文化(加賀料理)に根差し発展してまいりました。現在も他県への醤油移出が他県からの移入を上回っており、その占有率は7割弱と推定されております。
大野うまくち醤油の端麗甘口の持ち味は、煮魚等調理の際に使いやすく重宝されております。
特徴
生産方法
①原料
②原料の配合
③原料の処理
④出荷規格
③で清澄した醤油をそのまま容器に詰めたものです。(規格は生産行程管理業務規程に記載)
⑤最終製品としての形態
「こいくち醤油」
大野醤油醸造協業組合が製造する「混合生揚醤油」
混合生揚醤油の原料は、脱脂加工大豆、小麦、食塩及び種麹を用いて醸造する「本醸造濃口生揚」と「アミノ酸液」です。
②原料の配合
大野うまくち醤油の原料配合は、混合生揚醤油を塩水で調整し、これに少量の甘味料等を加えたものです。
③原料の処理
②を火入加熱調理し、自然冷却・清澄します。
④出荷規格
③で清澄した醤油をそのまま容器に詰めたものです。(規格は生産行程管理業務規程に記載)
⑤最終製品としての形態
「こいくち醤油」
概略
「大野醤油」産地の各製造者はすべて「大野醤油醸造協業組合」の組合であり、
ここで調整される醤油業界唯一の「混合生揚」を用いることで、
濃口生揚とアミノ酸液を自家割することなく一貫して安定した「大野うまくち醤油」を生産でき、
このことが産地としての信頼に大きく貢献し、当地における占有率の高さに繋がっています。